切除後4年目に発見された悪性黒色腫の胃転移

摘要

30歳代の女性。4年前に近医皮膚科にて左肩甲骨部の 悪性黒色腫の切除歴がぁるも，断端陰性にてフオロー は されていなかった。20xx年2月頃より乾性咳嗽が出現し， 近医で加療を受けるも改善せず，5月に当院呼吸器内科 に精査加療目的で入院した。入院時には皮膚病変は認め なかった。胸部CT検査にて，右肺下葉に約13cm大の充 実性腫瘤と両肺に多発性の腫瘤を認めた（図1)。肺生検 組織にて非上皮性の悪性腫瘍が疑われ，免疫染色にて悪 性黒色腫に矛盾しない所見であつた。貧血もみられたた め上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行したところ，胃体 中部後壁に周堤を伴う不整形の潰瘍性病変を認めた。周 堤は粘膜下腫瘍様で，潰瘍底は白苔に覆われるも，黒ず hだ色調を呈していた（図2a?c)。周堤部の生検では紡錘形異型細胞がみられ，間葉系腫 瘍の所見で，潰瘍底の生検では濃染核を有する結合性の 乏しい腫瘍細胞がびまh性に増生していた（図3)。腫瘍 細胞の形態としては，肺生検でみられた腫瘍と同一と考 えられ，4年前に施行された皮膚病変と類似していた。免疫染色では，c-kit(-)でGISTは否定的であり，S-100(+ ) ? Vimentin( + ) ? CD56( + ) ? CD34( -) ? CD99 (-)? HMB-45(-)の結果より，胃の病変も悪性黒色腫 の転移と診断した。HMG-45はpremelanosomeの一部に 対する抗体で，悪性黒色腫の70%ほどが陽性となるが， 本例のようにメラニン色素が乏しい症例では，陰性とな ることも多い。頭部MRI，骨シンチではmelanomaの転 移を疑う所見はなかった。以上の結果より，悪性黒色腫の再発，肺転移，胃転移 と診断した。