膵空腹貫通密着吻合による膵頭十二指腸切除術　術後の短期·長期成績からみた膵空腹貫通密着吻合の安全性と正当性

摘要

要約：膝頭十二指腸切除術の再建において臨床的に最も問題となるのは膵消化管吻合である。 術後早期の縫合不全?膵液漏は時に致命的となり，膵管の閉塞は長期的には膵機能を廃絶させる。 これらの問題を解決すべく我々は独自の膵空腸貫通密着吻合法を考案し，臨床に導入した。本法の連続344例中，術後早期には膵液漏が5例（1．45％）に見られたが，いずれも保存的に軽快し，その他の膵腸吻合に関連するトラブルもなかった。 長期的には術後5年（46例），10年目（17例）の膵内分泌機能異常はそれぞれ僅かに10．1％で，形態的にも術後の膵管拡張が見られたのは28．3％，29．4％であり，多くの症例での残膵機能の保持と膵管の開存が示唆された。 本法は短期的?長期的に合併症が少なく安定した成績が得られるとともに，どhな硬さの膵臓にも，どhな技量の術者でも一様に簡単に行える極めて優れた術式である。