膵癌に対する術前治療後の病理組織学的効果判定法

摘要

要約：膵癌に対する術前治療後の病理組織学的評価方法は，①腫瘍細胞の変化を評価する，② 腫瘍細胞および間質の変化を評価するの二つに大別される。①は残存している腫瘍細胞のうち で生存し得る腫瘍細胞の割合を評価する方法である。しかし，生存し得る細胞と生存し得ない 細胞を振り分けるのが難しいことがある。一方，②は以前に腫瘍が存在していた領域における 残存する腫瘍細胞の割合を評価する方法で，腫瘍の存在を推測するうえで膵癌に随伴する慢性膵炎が問題である。上記を踏まえ腾癌取扱い規約第7版では組織学的評価の頁が設けられた。 これまでの報告では膵癌は他臓器癌よりも組織学的完全奏効をめざした術前治療が必要な可能 性があるが，膵癌の術前療法に対する組織学的効果判定の意義はいまだ十分検証されていな い。膵癌に対する術前治療後の組織学的評価方法を確立し，その効果判定が臨床像とどう関連 するのかを明らかにしていくことが求められている。