胆膵内視鏡による消化管穿孔に対するOver The Scope Clipの有用性

摘要

胆膵内視鏡による消化管穿孔は死亡率が16?18%と高く，重篤な偶発症の一つとされている。穿孔に対する治療のゴールドスタンダードは外科的治療であり，高侵襲な処置を要し，長い入院期間が必要となることが多い。内視鏡的治療としては止血用クリップでの閉鎖が試みられるが，治療効果は外科的治療には及ばない。2011年にOver The Scope Clip (OTSC)が薬事承認され，2018年には穿孔治療に対し保険適用となった。OTSCは全層縫合器であり，外科的治療と同等の治療効果を有するとされ，胆膵内視鏡による穿孔についても治療報告が散見 され，良好な治療成績が得られている。しかしOTSCによる治療不応例や偶発症も報告されていることから，処置自体に精通するのみならず，外科と連携しながら適応についても慎重に判断する必要がある。