抗体価およびavidity測定に基づくヒト免疫グロブリン製剤中の抗サイトメガロウイルス抗体の評価 製法および血漿プールの差異による抗体の比較

摘要

サイトメガロウイルス(CMV)は易感染性宿主に重篤な感染症を引き起こす。 CMV感染症の治療などを目的として,免疫グロブリン製剤は抗CMV剤と併用されている。しかし,免疫グロブリン製剤の抗CMV活性は,現在,単に抗CMV抗体価の測定によって評価されているにすぎない。CMVが感染すると,まず抗原との結合力が弱い抗体が産生され,時間経過にしたがって高い結合力を持つ抗体が産生されるため,抗体と抗原との結合力(avidity)の測定は,CMV感染時期の推定に利用できる。 そこで,我々は免疫グロブリン製剤中の抗体価に加えて,抗CMV IgG抗体のavidityを測定して製剤の評価を行った。さらに,免疫グロブリン製剤の原料となる血漿プールの違い,あるいは製法の差異によって,その抗CMV活性に差が生じるかを検討した。 その結果,免疫グロブリン製剤の抗体価は,製剤の製法よりも,血漿プールの影響が大きいことが判明した。 すなわち,国内の献血血漿由来の免疫グロブリン製剤の抗CMV抗体価は,輸入血漿由来の製剤のものよりも低くなる傾向にあった。 免疫グロブリン製剤の抗体価とCMV感染症の治療効果との詳細は不明であり,今後の検討課題である。