担癌マウスの生体防御機構におけるルティン·ゼアキサンチン含有食品の影響に関する基礎的検討

摘要

生体内における過度の酸化作用は動脈硬化の原因となる血管内壁への赤血球や白血球などの血液細胞の沈着を引き起こす。 その主な機序として過酸化脂質による血管内皮細胞の活性化や血小板凝集の亢進が挙げられる。また,網膜における酸化脂質の影響は視力低下に繋がることが知られている。 生体での酸化作用を防止あるいは軽減する目的で抗酸化作用成分を含有した様々な健康食品が開発されている.しかしながら,抗酸化作用を謳っている健康食品の中には主成分として抗酸化作用物質を使用しているのみで抗酸化作用ならびに生体におけるその他の作用に関して基礎的検討を行っているものは少ない。 本試験において使用したルティン●ゼアキサンテン含有食品は抗酸化作用を有するといわれる植物性ポリフェノールならびにルティンを主成分としており,上述した症状を予防あるいは軽減する可能性を秘めた健康食品である。 そこで,本試験においてはルティン●ゼアキサンチン含有食品を強制経口摂取させた動物を用い,感染免疫を中心とした宿主の生体防御機構におけるルティン●ゼアキサンチン含有食品の影響について検討を行った。 腫瘍を接種することにより一時的な免疫抑制状態とした宿主に細菌感染を行ったところ,生存率に関しては被験物質投与群と実験対照群との間に差異は認められなかった。 一方,臓器内生菌数に関しては免疫抑制を施した宿主において被験物質投与群における排菌促進作用が確認された。 さらに,排菌作用が認められた宿主においては活性化型CD3陽性γdeltaT細胞の増殖が認められたことにより,ルティン●ゼアキサンテン含有食品による宿主免疫応答への関与が示唆された.