Von Recklinghausen病に合併した乳癌 わが国における報告例の検討を加えて

摘要

患者は71歳，女性．左乳房腫瘤を主訴に当科を受診した．30歳頃より全身に多発性神経線維腫とcafe au lait spotを認めており，当院皮膚科にてvon Recklinghausen病と診断された，左乳房外上下領域に径1．5cmの腫瘤を触知，MMG，US，MRⅠの結果，乳癌が疑われ入院となった．穿刺吸引細胞診では，class Ⅳであった．術中摘出生検にて乳癌と診断，ただちに胸筋温存乳房切除術（Bt＋Ax）を施行した．病理組織学的検査では，浸潤性乳管癌（硬癌）で組織学的リンパ節転移陰性TNM二分類でpT1cN0M0，StageⅠであった．また，ERは陰性，PgRは陽性であった．術後経過は良好である．若干の文献的考察を加えて報告する．