肝類洞内に限局した浸潤を認めた急性リンパ性白血病

摘要

著明な黄疸で発症した急性リンパ性白血病（ALL）を経験した。 患者は59歳，男性。 全身倦怠感，食欲低下，皮膚黄染を訴え来院。 来院時，総ビリルビン価13．5mg/dlと著明な黄桓と肝脾腫を認めた。 肝生検では肝類洞内に異常リンパ球の増殖を認め，骨髄穿刺では骨髄有核細胞の41．6％に芽球のびまh性増殖を認めた。 末梢血中にも少数の芽球を認めた。 芽球はterminal deoxynucleotidyl transferase（TdT） ，CD10，CD19，CD20，HLA－DRが陽性，CD2，CD3，CD4，CD5，CD7，CD8，kappa，lambda，cytoplasmic mu，ベルオキシダーゼ染色は陰性であった。 骨髄細胞の染色体分析ではhyperdiploidyを認めた。 投与量を減量したCHOPにより肝，骨髄から芽球の消失が確認された。 黄疸で発症した成人ALL例の詳細な報告は過去に見られず，また，これまで肝類洞内での増殖はhepatosplenic gamma/delta T－cell lymphoma，その他のNK/T細胞腫瘍，hairly cell leukemiaでは認められているが，ALLではきわめてまれな病態である。