間質性肺疾患合併の非小細胞肺癌における，プラチナ製剤を含む併用療法の検討

摘要

【背景】間質性肺疾患（ILD）合併の非小細胞肺癌に対する，プラチナ製剤を含む併用療法の有効性は明らかでない．【方法】2002年から2013年6月に静岡がhセンターで，初回化学療法としてプラチナ製剤を含む併用療法が行われた，ILD合併非小細胞肺癌患者104例を後ろ向きに検討した．【結果】患者背景は，年齢中央値（範囲）；67（44-78）歳，男性；91%，喫煙者；100%，PS0-1；92%，腺癌/扁平上皮癌；48/45%，III/IV期；39/53%，術後再発；8%，CT所見はUIP pattern；67%であった．また，カルボプラチン含む併用療法が82%，シスプラチンを含む併用療法が18%で行われていた．全体の奏効割合（ORR）は38%，無増悪生存期間の中央値（mPFS）は4.8か月，生存期間中央値（mOS）は9.9か月であった．初回化学療法中にILDの増悪を認めたのは9人（9％），そのうち2人はGr5であった．カルボプラチン+パクリタキセル療法が行われた患者は63人であり，ORR 35%，mPFS 4.4か月，mOS 8.2か月であり，ILDの増悪は5人（8％）で認めた．多変量解析では，病期が独立した予後因子であった．また，全体で2次治療を受けた患者は57人（55%）であり，そのうち17人（30%）でILDの増悪を認めた．【結論】プラチナ製剤を含む併用療法が行われた，ILD合併の非小細胞肺癌患者の予後は不良であった．初回化学療法におけるILDの増悪は既報より少ない傾向にあり，2次治療以降でILDの増悪に注意が必要である．