EGFR-TKIと放射線治療の併用

摘要

根治的手術不能III期非小細胞肺癌に対して，今までに様々な臨床試験が実施されてきた．これら試験結果の積み重ねにより，現在では放射線療法とプラチナベース化学療法の早期同時併用療法が標準的とされている．これは誰もが認める揺るぎないエビデンスである．しかし，WJOG0105やOLCSG0007など近年の臨床試験から得た事実は，その生存延長効果に限界があるということである．新規抗癌剤をプラチナに組み込み放射線療法と同時に用いても，未だ到底「治癒100%」への道のりは遠く，総じて閉塞感が漂っている．一方，IV期におけるこの十年間の抗癌剤治療変遷は目を見張るものがある．これらの複数のエビデンスや治療戦略をIII期へ可能な限り持ち込み，検証作業を粛々と行っていくスタンスは重要と考える．Driver mutation statusによる疾患細分化とそれに応じた分子標的薬治療など，順次臨床研究を積み重ねていく努力は重要である．III期症例を一人でも多く治癒に導くために，医療を提供する側の知と経験の結集は必要不可欠であり，当日会場で様々な情報を共有したい．