子宮筋腫における新しい細胞増殖シグナル伝達機構解析(子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓衝から分子標的療法へ）

摘要

子宮筋腫は，過多月経·貧血·月経困難症·圧迫などの症状を呈し，多くの女性のQOLを著しく障害する．治療としては，GnRH agonistなどの薬物療法が行われるが効果は十分とはいえず，最終的に子宮摘出といった外科的治療が行われることが多い．しかもその場合，女性の象徴として最も重要な臓器である子宮を失うという喪失感·心理的ショックは大きい．これに対し，子宮温存目的の治療として子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術（UAE）は世界的に広まりつつある治療法であるが，基礎研究がされないまま臨床応用が先行しており，治療メカニズムについても不明な点が多い．また，子宮筋腫の細胞増殖·発生のメカニズムについてもエストロゲン（E2）とエストロゲンレセプター（ER）以外のシグナル伝達経路はいまだ解明されたとは言い難い．