小児生体肝移植後5年時のプロトコール肝生検にてinterface hepatitisど認めに1例

摘要

肝移植は小児末期肝不全に対する標準的治療として確立され，長期生存率は80%以上と報告されているが，長期予後を左右するグラフト肝の線維化や慢性拒絶反応に関する病理組織学的な評価は十分とはいえず，今後の課題である。最近になり，グラフト肝の長期予後を推測あるいは向上させるために，プロトコ一ル肝生検による病理組織学的評価が重要であると考えられ，特に原疾患の再発リスクがある成人症例ではその有効性が認められている。一方で，再発しうる疾患の割合が少ない小児においては肝生検の合併症のリスクが強調され，プロトコ一ル肝生検に関しては一定の見解が得られていない。しかし，標準肝機能検査が正常である小児肝移植後長期症例のグラフト肝の線維化が報告されるようになって以来，小児においてもプ口トコ一ル肝生検の重要性が注目されるようになってきた。