厚生省特定疾患調査研究班の取り組みをふり返って

摘要

日本における網膜色素変性の基礎,および臨床研究は,昭和40年代に厚生省に組織された難病対策課が始めた特定疾患対策研究専業の1つとして,昭和47年に網膜色素変性症を取り上げられたことに始まるといってもよい.この経緯については「日本眼科の歴史」第3巻に詳しい.略述すると,研究班は「網膜色素変性症の臨床·病因·疫学に関する研究」と題され,昭和48年,三島済一教授(東京大学)の班長のもとに班員17名,研究協力者28名で発足した.班研究の目的を,日本でまだ系統的に研究されていなかった本疾患の病因や疫学研究など幅広くしたため,眼科臨床研究者はもちろhのこと,小児科,神経内科,産婦人科,精神科,衛生学,国立遺伝学研究所人類遺伝学部などの先生方も加わっており,難病解明に対する意気込みを伺うことができる.