精神病という言葉にスティダマがあるか-精神病のメタスティダマ-

摘要

精神疾患のスティグマが身体疾患と比べて強く存在し，特に統合失調症のスティグ マは最も強いことが指摘されてきた。精神病にもスティダマがあると考えるのが妥当とさ れてきたが，これまで定量的に明らかにした研究はない。ここでは，これまで報告した研 究の追加解析を行tゝ，マスメディァ報道で「精神病」の用語は統合失調症名称変更以降に急 速に使われなくなつたこと，大学生への予備調査で精神病のスティグマは統合失調症と比 ベて同程度か小さい可能性を明らかにした。その要因として，現在の一般市民においては 精神病という用語を「精神疾患，精神障害をより口語的に，非専門家が用いる言葉」と解釈 している可能性があげられた。今後，精神病という用語が一般市民に正しく理解されるこ とはないと考えたほうがよい。専門家が持つ専門用語のスティグマ，いわゆるメタスティ ダマを意識することで，良好?有効な専門家一患者関係が生まれるのではないかと考える。