医療観察法審判における修復的司法の可能性について

摘要

拡大自殺をはじめとして精神障害者による家族内での殺人は少なくないが，その場合残された家族は被害者性を有すると同時に保護者としての役割を求められることとなる。 しかしこれによって患者と保護者の間に利益相反関係が生ずるおそれもある。 近年注目されている修復的司法の手法である被害者加害者対話（VOM）の手法を用いることによって，被害を受けた家族と患者の関係が修復され，家族と患者の双方に利益をもたらすことが期待される。