資源大国の石油事情

摘要

カナダは言わずもがなの資源大国であるが、とりわけ石油資源に関しては、BP統計によれば二〇一六年末時点で確認埋蔵量は一七一五億バレルと、ベネズエラ（三〇〇九億バレル）、サウジアラビア（二六六五億バレル）に次いで世界第三位とされている。膨大な埋蔵量を誇るカナダだが、その九六·四%にあたる一六五三億バレルはオイルサンドである。主要産油地域はアルバータ州を中心としたアサバスカ、ピースリバー及びコールドレイクの西部三地域（図-1）で総面積は一四·二万平方キロメートルに及ぶ。オイルサンドの商業的生産が開始されて約五〇年、当初は露天掘りにょる生産が中心であったが、一九八〇年代以降、特にここ一〇年は初期投資額が抑えられることからSAGD法等地層内で石油を回収する生産方法がオイルサンド生産を支えている。二〇一六年時点のカナダの石油生産量は、カナダ国家エネルギー委員会（NEB）の統計では、一〇年前と比較すると約一·五倍増加し日量三八五万バレルに達しているが、その成長源がオイルサンドの生産である。