得られる解がチェビシェフの意味で最適な逐次射影法の改善

摘要

本報告では，得られる解がチェビシェフの意味で最適な逐次射影法の改善法を提案する．従来提案されている逐次射影法を用いて設計されたフィルタは，常に与えられた仕様を満足しているが必ずしもチェビシェフ解であるとは限らない．これは，逐次射影法のn＋1回目の繰り返しにおいて，すべての周波数点上であらかじめ与えられた許容誤差を満足した場合，繰り返しを終了するためである．本方法では，n＋1回目の繰り返しの際に必要となる許容誤差に一つ前の係数を用いた振幅誤差の極大値の平均値を用いることにより，許容誤差を逐次変化させながら設計する．このとき，極大値がすべて等しくなれば，チェビシェフの意味で最適な許容誤差に収束したことになる．したがって，本方法では，1度の設計でチェビシェフ解を得ることができるため，従来提案されている逐次射影法よりも簡単に設計することができる．