三次元プロトン伝導性高分子膜の開発: ジャイロイド構造を利用した高速プロトン伝導性界面の設計

摘要

人類が目指すべき「理想的なエネルギーシステム」の開発において、水素と酸素からエネルギーを作り出す燃料電池は極めて重要なエネルギーシステムである。燃料電池の更なる高性能化を目指すにあたり、電極·電解質膜·セパレータなどの構成材料のそれぞれを改良することで協調的な機能向上を期待できる。これらの構成材料の中で、電解質膜は燃料電池の性能を左右する重要な部位の一つであり、より高い伝導性·高い機械的強度·高いガスバリア性などを兼ね備えた膜の開発が求められている。高分子を用いてこのような膜を設計する上で、高分子膜中に水分子の水素結合ネットワークを作製することが鍵となる。なぜなら、水分子のネットワークの存在はグロータス型の高速プロトン輸送を可能にするためである。この伝達機構はニュートンのゆりかごになぞらえることができる。つまり、膜の表から裏まで、水分子を途切れなく並べることが優れたプロトン伝導性高分子膜の開発に重要である。