正弦波電気刺激に対するグラスキャットフィッシュの電気受容求心性神経の応答と行動反応

摘要

電気受容器は外界の電位を受容する器官である．グラスキャットフィッシュは電気受容器を有しており，正弦波電気刺激に対し，電気受容器を介して求心性線経の自発発火が周波数変調される．電気刺激による求心性線経の神経活動の変調は魚の行動に影響すると考えられるが，神経活動パターンとグラスキャットフィッシュの行動学的反応の関係は明らかにされていない．本研究では，まず正弦波電気刺激に対する電気受容器の神経活動の応答パターンについて調べ，次に正弦波電気刺激を加えた際のグラスキャットフィッシュの行動を調べた．正弦波刺激を加えると，8Hz～20Hzでバースト発火パターンとなる傾向にあり，刺激強度を高くすると，バースト発火する周波数領域が広がった．また，バースト発火の引込み応答や準周期応答がみられた．行動実験では，10Hz～20Hz付近で忌避行動が顕著であった．これらの結果から，正弦波電気刺激の同じ周波数帯において，求心性神経線経の神経発火パターンがバースト化し，行動においては忌避を示すことが明らかになった．