ウェブ高力ボルト摩授接合の梁の力学性能

摘要

本研究の結果は以下のように要約される。 1）ウエブ高力ボルト摩擦接合はすべり耐力前にも、僅かずつではあるが回転ずれ変形を生じながら、耐力を発揮している。 2）フランジ破断時には、柱との溶接部におけるフランジ幅方向変形の拘束効果によりフランジ引張強さが1．02程度上昇する。 3）ウェブ高力ボルト摩擦接合部は、スカラップ周辺のフランジの局所変形量（回転量）に適合した抵抗モーメントを発揮する。 フランジスカラップ部の局所変形能力は材端溶接部、スカラッナ底の幾何学的、冶金学的ノッチに大きく影響されるので、この部分の施工精度が接合部の終局耐力、変形能力に大きな影響を与える。 本試験体の施工精度は発表された既往の諸試験体に比して極めて良好であったと考えられる。 4）ウェブ高力ボルト摩擦接合部の曲げモーメント負担は、載荷初期には5％程度であるが、全塑性耐力畔から破断時にかけては12～14％程度であった。 5）本研究では、ウェブ高力ボルト摩擦接合部が負担する曲げ耐力を定量的に求め、破断時の梁フランジ引張応力度を把握した。引張応力度は引張強さに達しており、このことは引張強さが破断時の変形能力評価規準の一園子になることを示唆している。 以上の結果については、本実験で用いた接合部ディテールに限ったものであり、これらの結果は接合部諸要素のレイアウト、強度により変わるため、今後のデーターの蓄積に期待する。