経済の牽引役として観光産業に期待

摘要

世界観光機関によれば，2003年の世界の観光客数は前年比1.2％減であった。 新型肺炎(SARS)の影響でアジア·大洋州地域が9.3％減，テロ活動取り締まりの一環として入国審査が厳格化された米国を含む北米が6.7％減と大きく落ち込み，欧州は0.4％増と横ばいであった。 こうした中，中東はその地政学的リスクにもかかわらず10.3％の高い伸びを示し，初めて3,000万人を突破した。 米国テロ事件の起きた2001年を除いて，観光客数が近年一貫して拡大を遂げているのは，中東諸国で観光産業を重視する傾向が強まっているからである。 以下ではレバノンを取り上げ，観光産業を国の経済の中でどのように位置付け，発展させようとしているのか，現状と課題を検証する。