欧米企業によるBOPビジネス先行事例

摘要

BOPビジネスとは，BOP層の購買力を新たに引き出す取り組みである。1日1ドル未満のBOP層では，食費と必需品以外の支出は難しいが，1ドル以上になると，限られているとはいえ，選択的な消費が可能になる。とはいっても，BOP層の買い物リストの中に自社のブランドを入れてもらうことは，多国籍企業といえども至難の業である。綿密な事業戦略がなければ，到底できない話である。その点，ネスレとユニリーバは長期戦略を持って取り組む代表例と言えるが，取り組み方は対照的だ。ネスレが1日8ドル程度までの「次なる10億人」の最高所得層を念頭に置くのに対し，ユニリーバは1ドル以下のBOP最低所得層を視野に事業を展開する。このビジネスで後発の日本企業が当面取り組みやすいのは最高所得層であり，ゆくゆくは最低所得層も視野に入ってくるのかもしれない。