自由貿易を唱えるブラジルは域内の防波堤となるか

摘要

ブラジル，アルゼンチンなど南米諸国で構成される南米南部共同市場（メルコスール）は，内需主導型の経済構造のため，金融危機の影響は先進国に比べ軽微とされる。このため，欧米市場の需要減過から行き場を失った安価な中国製品を引き寄せる可能性が高い。それでも，ブラジル·ルーラ大統領はWTOドーハ·ラウンドの決着を重要課題とし，「危機だからこそ自由貿易を」と唱える。一方で，保護主義的傾向を強めるアルゼンチンは共通貿易救済制度の創設を主張。ブラジルは，メルコスール加盟国間の協調か自由貿易推進かのはざまでバランスある対応を迫られている。