小規模コアボーリング掘削時のランダム連続振動の相関解析に基づく地下空洞周辺の不連続構造の推定法

摘要

本研究では，地下空洞内部からその周辺の地下構造の評価を簡便·安価に実現することを目標にして，ボーリング掘削時に受動的に得られる弾性波を利用した地下イメージング方法を検討している。本稿では，深地層の研究施設である日本原子力研究開発機構の瑞浪超深地層研究所の研究坑道において，力学調査目的の岩石コア採取時の掘削音の観測を行い，地下空洞周辺の3次元的な反射イメージングを試み，孔内観察結果から予想される地下き裂分布との比較を行った結果を報告する。まず，狭い地下空洞内部でボーリング掘削音を利用する概念と利点を述べ，1観測点でもイメージングが可能な，時間と空間に関する相互相関に基づく解析手法について概説する。次に，具体的な研究坑道でのデータ取得の概要を記し，得られた掘削音データの基本的な特性を示す。最後に，掘削音による反射イメージング解析結果を示し，孔内観察に基づく推定き裂分布との比較を行った後，本方法で得られた空間的な反射率分布に関しても当該地点付近のき裂構造との関連性について考察した。本論文では，これらの解析と考察結果により，本方法が狭い地下空洞内部における周辺の不連続構造推定に高い適用性を有し，高レベル放射性廃棄物地層処分など地下深部環境の高度利用に貢献できる手法であることを示す。