熊本地震で発生した ガラス繊維強化プラスチツク製の 廃バスタブのリサイクル

摘要

筆者らは、約10年前より、完全リサイクル技 術が完成されていないガラス繊維強化プラスチ ック（GFRP、バスタブや船舶等に使用されて いるプラスチック複合材料）、について、マイ クロ波を用いた化学分解の研究を精力的に行っ ていた。平成23年3月11日に東北地方太平洋沖 地震（最大M7、最大震度7)が発生して、津 波の広範囲な被害が起こった。特に、津波で打 ち上げられた数多くの船舶が報道されたことは 記憶に新しい。そのような廃船舶がリサイクル できるような復興支援技術は未だ登場していな い。筆者らは、平成28年3月末には、加圧マイ クロ波条件を用いると、無触媒ァルコール加溶 媒反応でGFRPの樹脂を完全に分解できること を見出していた。さらに不飽和結合をもつェチ レングルコールモノアリルエーテル（EGMA) を用いたところ、得られた樹脂分解物には、不飽和結合が導入されているため、熱硬化性樹脂 の架橋剤としての利用が可能であることも明ら かにしていた（第1図）。その半月後の平成28 年4月14日と16日に熊本大地震が起こった（前 震14H ： M6.5、最大震度7、震源地：熊本県益 城町：本震16日：M7.3、最大震度7、震源地： 熊本県西原村、益城町）（第2図）。今回の地 震による熊本県の家屋の被害は全壊?半壊で約 42.000Pと概算されたので、ほぼ同数のGFRP 製のバスタブが廃棄物として発生すると予想 されたので、廃バスタブの概算量は約840t (約 20kgx42,000個）となる。