食事制限による肺胞サーファクタントプロテイン-Aの量ぉよび質的変化と肺胞マクロファージの機能に及ぼす影響

摘要

肺胞マクロファージ（AM）は，直接外界に接している肺胞を介して，吸入した微生物や粒子に対し初期の生体防御として重要な役割を果たしている。 また，AMには成熟段階により機能的に異なるいくつかの亜集団が存在し，宿主の栄養状態によりその機能が変化することも報告されている。すでに，森口らは絶食の初期（2－3日）にラットAMのオプソニン化羊赤血球に対する貪食能が元進し，その後減退することを明らかにしている。 一方，肺胞腔は，肺胞ⅠⅠ型細胞および細気管支クララ細胞から分泌される肺胞サーファクタント（PS）と呼ばれるリポタンパク質により被覆されている。 本来，PSは肺胞表面の表面張力を低下させ，肺胞虚脱を防ぎ，呼吸を維持する機能をもっているが，PSの主要なアポタンパク質であるサーファクタントプロテイン．A（SP－A）には，肺胞腔に現れる免疫細胞の機能に多様な影響を及ぼしていることで知られている。