製茶の研究…手揉みから機械へ第29回

摘要

「静岡県下に於ける製茶機械の売行きは昨年六月より本年(明治お年)六月に至る一力年間に於いて約一千六百台に達し、之を前年度に比する時は三割方を増加したり。其原因は昨年末米国製茶市場が活況を呈して番茶の売行き好況なるに因るべきも、当業者の観察する所によれば、機械製茶は人工製茶よりも緑色鮮やかなる上労力を省く点に於いて優れるのみならず、従来直接火焰吹込機械にて製造したるものは炭煙臭を伴い品質不良に付き、遂に茶業組合規約に於いて之が使用を厳禁せられたると同時に、新たに熱風火炉を購入するものは本年三月迄会議所より補助金を交付されたる結果にして、吹込機械使用禁止の当時は機械屋も生産家も大いに恐慌を来し、盛hに反対したるものなり。今日の熱風火炉は実験の結果良好なりし為、斯くは使用者の増加せしものにて、明治お年度は本県下の生産家は約六万戸、製茶機械使用者はお、6台に過ぎざりしが、今日は生産家八万戸中機械使用者は一万台に達し前途益々使用者を増加せhとする傾向なり。」