アカハタ仔魚の初期餌科としてのいわゆるS型ワムシの有効性

摘要

1）水温26°Cおよび22°Cで産卵したアカハタ卵を引き続き同水温下でふ化飼育し，仔魚の初期餌料としてのS型ワムシの有効性について検討した。 2）26°Cでは，平均卵径は783μmで，開口時の仔魚の平均全長は2．77 mmであった。 一方，22°Cでは平均卵径は820μm，開口時の平均全長は2．92 mmであり，両者には有意差が認められた。 3）開口と同時に平均背甲長180μmのS型ワムシを給餌した結果，26°Cでは日齢2で平均150μm，目齢3で同153μm，日齢4で同169μm，日齢5で同177μmのS型ワムシを摂餌していた。 一方，22°Cでは月齢3で平均166μm，日齢4で同175μm，日齢5で同171μm，目齢6で同175μmのS型ワムシを摂餌したおり，いずれも開口後3日間は小型ワムシの選択的な摂餌が認められた。 4）仔魚の生残率は，摂餌開始時までで26°C区，59．2％，22°C区，76．0％であった。 実験終了時には，26°C区が31．6％，22°C区は42．0％となった。 5）群摂餌率は26°C，22°Cとも飼育期間中を通じて100％であった。 一方，仔魚1個体当たりの平均ワムシ摂餌数は，26°Cでは日齢2，2．48個体，日齢3，3．10個体，日齢4，3．12個体，日齢5，3．16個体であり，22°Cでは日齢3，2．18個体，日齢4，3．96個体，日齢5，3．90個体，日齢6，5．10個体であった。 6）上述の結果から，開口後3日間は高密度でS型ワムシを給餌するか，あるいは選別した小型個体を給餌することにより，S型ワムシはアカハタ仔魚の初期餌料として有効であると考えられた。