誘電泳動インピーダンス計測法による電気的 細菌検出装置の開発と食品衛生管理への応用

摘要

1996年、わが国では病原性大腸菌0-157によ る集団食中毒により、死者12名、発症者9,451 名を記録した。その後、患者数は減少したが根絶 された訳ではなく、現在でも感染例が散発的に報 告されている。ノロウィルスやサルモネラ属菌な どその他の病因物質を含めたわが国の食中毒患者 数は、年間で2万-3万人程度に達する。また 2000年には、食品への細菌や毒物などの異物混 入事件が相次ぎ、ずさhな品質管理体制が食品製 造企業のイメージダウンにつながる社会問題に発 展するなど、我々が毎日摂取する食品の安全性が 改めて問われている。このような状況の下、食品 の品質管理にHACCP (Hazard Analysis Critical Control Pointハサップ）と呼ばれる新たな手法 が導入されるようになってきた。従来の品質管理 は最終製品の抜き取り検査が中心であり、細菌検 出には長時間を要する培養法が公定法として用い られている。このため検査結果が判明するのは製 品が既に出荷、消費された後となり、被害の拡大 を未然に抑えることは困難である。