植物ステロールの生理機能と応用

摘要

植物ステロールは約五十年前から、アメリカとカナダでコレステロール低下作用について臨床試験が実施されてきた機能性素材である。 近年、日本でライフスタイルの変化により、生活習慣病がより注目されるようになり、メタポリックシンドロームということばもよく聞くようになった。 厚生労働省の調査では、高コレステロール血症の疾病予備軍は二千二百万人といわれており、日本人の約二〇％にあたる川。 また、日本病院会と日本人問ドック学会の調査でも、二〇〇五年の人間ドック検査項目別異常者頻度において、高コレステロールが肝機能障害の二六.六％に次いで二五.五％と二番目に高かったと報告している。二〇〇一年、日本で初めて、これらの消費者を対象にした　 「コレステロールを下げる」というヘルスクレームで植物ステロールが配合された食用油脂が特定保健用食品として売り出され、高価でありながらも瞬く間に市場を作り上げた。現在も植物ステロールが配合された食用油脂を始め、加工油脂類の市場が拡大しており、植物ステロールは脚光を浴びつつある。