栄養学の新しい潮流一分子栄養学からニュートリゲノミクスへ

摘要

分子生物学の発展は，栄養学の分野にも大きな転換をもたらした。 分子栄養学といわれる学問領域は既に特殊なものではなく，論文，学会発表，マスコミ報道の何れに関しても分子レベルの栄養学食品科学のテーマが大きな比重を占めている。 本稿では，分子栄養学の近年の発展と最近のポストゲノムの栄養学（ニュート－」ゲノミクス）の流れについて考察したい。 特に，分子生物学に直接関与したことがない読者を想定して，分子栄養学的考え方に親しhでいただく一助となることを目的とする。 なお，本稿において栄養素という語を使う場合には，いわゆる栄養素の他に非栄養素とも言うべき機能性食品成分，あるいは毒性成分のような生体に悪影響を及ぼす成分についても言外に含hでいることをご承知おきいただきたい。