アメリカにおける分子農業の現状

摘要

分子農業は近年目覚ましい発展を遂げ，有用タンパク質の新しい生産系としての位置を確立しつつある．すでに非臨床用試薬では，Prodigene社からトウモロコシに発現させたavidinおよびtrypsinが，またLarge Scale Biology社からはタバコ類縁種に生産させたaprotininが商品化されている（いずれもSigma－Aldrich社から購入可能）．一方，分子農業における最大の開発対象であるタンパク質製剤も，すでにいくつかの製品が開発の最終段階に至り，間もなく市場に登場すると予想されている．本稿では，アメリカにおける分子農業について，特にタンパク質製剤の生産に焦点を絞り，それを取り巻く状況，規制の仕組み，開発状況ならびに今後の展望について紹介する．