関東地方の都市近郊平地林における降水中の成分濃度と負荷量－森林総合研究所構内における降水の観測結果－

摘要

首都圏の周辺地域に位置する平地林での降水の特性を明らかにするために、茨城県つくば市にある森林総合研究所構内で、1995年から2000年にかけて観測した降水中の成分濃度とNH_4~+、NO_3~-、SO_4~(2-)の負荷量について検討を行った。 期間中に採取した降水中の陽イオン濃度の平均は、NH_4~＋＞Na~＋＞Ca~(2＋)＞Mg~(2＋)、K~+の順に高く、陰イオンは、Cr＞NO_3~-＞SO_4~(2-)の順に濃度が高かった。また、本観測地点の降水中のNO_3~- SO_4~(2-)の濃度ほ、首都圏で発生した大気汚染物質の影響を受けている地点で観測された降水中の濃度とほぼ同程度であった。NH_4~+、NO_3~-、SO_4~(2-)の年間負荷量の平均値はそれぞれ、43.3、32.4、25.6 mmol m~(-2)yr~(-1)で、降水による窒素負荷量が高かった。 また、1995年から2000年の無機態窒素（NH_4－N＋NO_3－N）の平均年間負荷量は10.6kg N ha~(-1)yr~(-1)であった。 本観測地点においてほ、NH4－Nの無機態窒素の負荷量に対する寄与率は平均で58％と、窒素の負荷としてNH_4－Nの果たす役割が大きい傾向が明らかになった。