リクルーター制度と労働組合: カナダ、北西海岸先住民によるサケ漁業換業を支えた経済的環境について

摘要

カナダの太平洋沿岸の先住民は、19世紀の後半以来、現地に導入されたサケ漁業に参入し、現在にいたるまで、労働者として関わりつづけている。 これらの先住民にとって、サケ漁業は彼らが経験するはじめての「近代」経験であり、それ故に同産業への適応はけっして容易なものではなかった。従来の生業経済とは異なる資本主義的な経済システムに適応しなければならないだけでなく、そこにはヨーロッパ系カナダ人や日本人漁業者との競争もあったからである。 本研究ノートは、先住民漁業者たちがこれらの困難を克服するために組織した「労働組合」としての、ブリティッシュ.コロンビア先住民同胞団（Native Brotherhood of British Columbia）の歴史と活動を整理していくものである。