馬鈴薯疫病抵抗性の細胞生理学的研究III.疫病菌の侵入を受けた細胞の褐変に至る過程の時間の測定

摘要

馬鈴薯稚葉の中肋表皮細胞に疫病菌を接趣し，その 褐変に至る時間経過を測定した。この場合同一切片の 連続観察では正常の褐変が起り難いので，接極後一定 時間毎に切片をつくり，短時間にその変化を記録し， 後それらの観察結果を集計して統計的に時間を測定した。その結果によれば強抵抗性種閒雑種41089-8で は遊走子内容が大部分寄主細胞內に移行したのち，早 い場合にはほぼ10分間でBrown運動をする顆粒が 発生し，遅い場合でも1.時間前後でBrown運動顆粒 休が発生する。その後10分ないし1時間で細胞は黄 その後約10-30分でBrown運動が停止し gel化したと認められた。その後約10時間位の間は 色が濃化して行くようである。これに反して罹病性品種北海9号ではその各過程が 遅く ，侵入後Brown運動顆粒が発生するまでに2~ 8時間，変色する迄に7~10時間，gel化するのに1 ~1.5時間を要する。上述のように，侵入後の細胞変 化の時間については抵抗性品種と罹病性品種の間に著 しい差が見られる。しかし侵入は接種後おおむねI2ム -2時間で始まり，罹病性品g:と抵抗性品11の間に殆 hど差を見ない。これらの観察で分裂後間もない小さい細胞では褐変 進行が速やかで，その後成長するに従い遅くなるように見える。