タンニン酸とイチゴおよびシソ葉に存在するポリフヱノー ル化合物がBT剤のハスモンョトウ幼虫に対する殺虫活性に及ぼす影響

摘要

ィチゴゃシソを食害しているハスモンョトゥでBacillus thuringiensismn (以下，BT剤）の効果が低下することが 知られている.本現象は植物中に含まれるポリフエノール 化合物が引き起こしているものと推察されている.そこで， 本研究では各種ポリフエノール化合物がBT剤の殺虫活性 にどのような影響を及ぼすのか調査した.まず始めに代表 的なポリフエノ 一ル化合物であるタンニン酸と没食子酸が Bacillus thunngiensis serovar aizawai 製剤（以下，BT剤）の ハスモンョトゥ幼虫に対する殺虫活性に及ぼす影響を調査 した.次に，イチゴ，シソの葉に含まれる各種ポリフエ ノール化合物を同定，定量するとともに，これら同定され たポリフエノ —ル化合物がBT剤の殺虫活性に及ぼす影響 について調査した.BT剤に所定濃度のタンニン酸あるいは没食子酸を添加 し，ハスモンョトウ3齢幼虫に経口投与したところ，タン 二ン酸の添加は濃度依存的にBT剤の殺虫活性を低下させ たが，没食子酸の添加はBT剤の殺虫活性に影響を及ぼさ なかった.イチゴ，シソに含まれるポリフエノール化合物を調査し た結果，イチゴではエラグ酸，カテキン，ケルセチン， フェルラ酸，p-クマル酸,シソではルテオリン，ァピゲ二 ン，オイゲノール，ロスマリン酸，フェルラ酸，/^クマル 酸が同定された.BT剤に所定濃度の同定されたポリフエ ノール化合物試薬を添加し，ハスモンョトウ3齢幼虫に経 口投与したところ，カテキン，ケルセチン，ルテオリン， ァピゲ二ン，ロスマリン酸および户ークマル酸の添加は濃度 依存的にBT剤の殺虫活性を低下させたが，エラグ酸，ォ ィゲノ —ルおよびフユルラ酸の添加はBT剤の殺虫活性に 影響を及ぼさなかった.殺虫活性阻害作用の認められたポ リフヱノール化合物の内では，ロスマリン酸の低下効果が 最も高く，次いでカテキンであった.以上の結果から，ィ チゴではカテキンが，シソではロスマリン酸がBTa剤の殺 虫活性低下をもたらす主要なポリフエノ 一ル化合物である ことが示唆された.