廃用豚1頭からの単為発生胚共移植 による子豚生産方法の検討

摘要

これまで，廃用豚から子豚を得るためには，複数のブタから大量の卵子を採取し， 体外受精後に体外生産胚を仮腹脉の子宮内に 移植することで，産子を得ることが行われて きた。複数のブタが必要な理由として，1頭 から得られる卵子数が少なく，さらに体外受精後の胚への発生率が15-30%程度であるた め，妊娠維持に必要な胚数を1頭から確保出 来ないことが多いからである。多胎動物であ る豚の妊娠過程において，4個以上の胚の着 床が妊娠維持には不可欠であり，それ以下で あると妊娠を維持できないと報告されている (Polge et al.1966)。本試験では，希少品 種個体1頭の廃用豚から採取した卵子を長距 離輸送し，体外成熟，体外受精後にさらに別 の場所に輸送し，単為発生胚(PA胚）との共移 植による妊娠補助効果により，血統の明らか な産子を得ることが可能カゝ検討した。