黒ボク心土を用いた異なる施肥リソレベル下でのダイズの生育と根粒活性に及ばすVA菌根菌接種の影響

摘要

VAMFの感染によるダイズ（T202）の生育と根粒活性の反応を，施肥リソレベルが異なるポット（100mg P：P_1，50Omg P：P_5，3000mg P：P_(30)）および遮光処理下で生育時期別に検討した．1）生育，リソ、窒素吸収，根粒活性（アセチレン還元活性＝ARA）および固定窒素に対するVAMF感染効果は，一般に，低リソレベルほど（P_1＞P_5, P_(30)）かつ生育初期はど高く，一方，VAMF感染率と感染根長も低リソレベルでより高く推移した．乳熟期のP_(30)では，VAMFと根粒菌との共存によるC消費系の拡大により，ダイズの各部位乾物生産への感染効果ほ負となった．しかし，結実期では，生育特に根粒重の増加や，莢実、根粒へのリソ，窒素の集積が高まり，感染効果はプラスに転じた．結実期の固定窒素に対するVAMF感染効果は，どのリソレベルでも顕著であったが，施肥窒素吸収に対しては見られなかった．これは，感染によって根の生育が促進されたが，施肥窒素が極端に少ないことに起因していると推察された．2）開花初期のP_1，P_5では，感染によって根粒内リソ濃度が高まり，それによってARAも頭著に増加した．それ以降は, 生育の進展による希釈効果によっていずれも低下した．しかし，生育初期の感染による根粒活性の増大により，乳熱期の莢実窒素濃度は顕著に高まった．P_(30)での感染は，結実期において，根粒の衰退を止め，根粒活性の持続を通じて，賽実の窒素濃度を高めた．その生理機構には，リソ栄養以外の要因が推定された．3）開花初期のP_(30)では，VAMF感染によってARAが有意に高められたが，ダイズ各部位の生育莢量およびリン、窒素吸収に対しての効果は見られなかった．4）播種後25日目（開花前）からの約50％遮光処理によっても，VAMFの感染により，結実期の生育とリソ吸収，固定窒素などは顕著に高まり，特に，莢実と根粒内リソ濃度を高めていた．