1型糖尿病犬における血球内酵素活性の変動

摘要

ストレプトゾトンンの静脈内投与により誘発した1型糖尿病（type 1 diabetes mellitus，DM）の犬（6頭）における空腹時の血漿グルコース（FPG）濃度，血漿インスリン（IRI）濃度および血球酵素活性の変動を調べた。 血球内酵素として乳酸脱水素酵素（LDH），解糖系律速酵素であるホスホフルクトキナーゼ（PFK），ピルビン酸キナーゼ（PK）およびペントースリン酸経路の律速酵素であるグルコース6リン酸脱水素酵素（G6PD）の活性を測定した。 DM犬に朝夕の食餌給与時に2呵のインスリン皮下投与を行い，血糖値を調整した。 インスリン処置を施されたDM犬の血祭IRI値は正常対照群に比べ高い値を示したにも係わらず，FPGはかなり高い値を示した。 インスリン処置されたDM犬のいずれの白血球酵素も対照群に比べ高い血祭IRI値を反映して高い活性を示したが，赤血球ではLDH，PFK，PK活性は低いままであった。 白血球の解糖系酵素活性はIRI値の変動を敏感に反映しており，これらの酵素活性ほDM犬におけるインスリン投与の効果を評価するための良い指標となりうることが示唆された。