酸化防止剤の力価評価法の検証とその応用に関する食品化学的研究平成29年度日本食品保蔵科学会奨励賞

摘要

現在，日本国内で使用されている食品添加物は，指定 添加物と既存添加物に大別される。指定添加物とは，国 が安全性，有効性を確認した合成添加物であり，成分含 量，または成分組成に基づく規格基準が設定されている。一方，既存添加物は1985年の食品衛生法の改正に伴い， 経過措置的に使用が認められている主に天然由来の添加 物である。既存添加物については規格基準設定を目的と して，成分組成の分析，有効成分の同定，及び定量法の 開発が行われている。しかし，酸化防止剤用途の既存添加物の多くは複数成分が抗酸化力価に関与しており，す ベての抗酸化成分の同定，定量を行うことは困難である。 このような既存添加物については成分含量，または成分 組成に基づく規格基準が設定できないことから，品質確 保のために主要な成分組成と抗酸化力価の確認の組み合 わせにより規格設定することが望ましい。そのため，本 研究では抗酸化力価の標準法の確立を目的とした研究を 行った。