狭山湖が所沢ァメダスボイントの気温と風況に与える影響

摘要

ァメダスに代表される長期間かつ継続的な気象データは地球温暖化など気候変動研究にとって極めて重 要である。近年、練馬アメダスでの「日だまり効果」など、都市化の影響や観測所近傍の環境変化の影響に よって正確な気象観測がなされていない問題がある一方、所沢アメダスは、関東平野一帯のヒートアイラン ド効果と全球規模の気温上昇を含めた気温変化を捉えられる絶好の場所と言える。なぜなら、設置されている都心から約30km離れた郊外にある山口貯水池（通称、狭山湖、以下、狭山湖と記す）の周囲は、貯水池 林として長年維持管理されており、ここ50年間の環境変化はないからである。しかしながら、狭山湖という大きな水体が所沢アメダスの周辺に存在しており、水体が気象に与える影響を考慮する必要がある。水体 が周辺環境に与える影響を調べた研究は多岐に渡り、狭山湖よりも巨大な五大湖から、逆に狭山湖よりも小さい池でも周辺の気候に影響を与えていることが報告されている。そこで、本研究では、1998-2002年にか けて耐震工事のため狭山湖に水が貯留されていなかった期間に着目し、まず、それと通常の貯水期間の気象 値とを比較した。それを通じて、大規模な水体が周辺の気候、特に気温と風況にどのような変化をもたらし ているのかを検出することを試みた。最後に、局地気象の成立要因を理論的に考察した。