鳥取砂丘におけるスプリンクラーを用いた灌漑システムの開発の歴史

摘要

鳥取大学の社会貢献は昭和24年の開学以来， 多数の事例が積み重ねられてきた。中でも，スプ リンクラー灌漑による海岸砂丘地の農地利用は大 きな足跡の一つとして語られてきた。私も日本に おけるスプリンクラー灌漑の発祥は鳥取大学とい う話は聞いていたが,詳細が不明であるため，軽々 に口にすることもできず，もどかしい思いをして いた。山陰海岸国立公園パークガイド鳥取砂丘 (2010)では「昭和28年，鳥取大学農学部の研究 者は全国に先駆けて海外のスプリンクラー灌漑技 術を導入する試験を浜坂砂丘で行つた。同年制定 された『海岸砂丘地帯農業振興臨時措置法Jと相 まって，昭和30年から37年にかけ，県内で大規 摸な灌漑施設工事が進められ，スプリンクラーに よる自動散水が可能となった。その結果，農家は 長年苦しhできた担送灌漑労働から解放された。」 と記載されている。大きな流れは分かったが，や はり細かなところが不明である。