培養皿の形状がゥシ初期胞状卵胞由来卵子の体外発育 及び発生能に及ぼす影響

摘要

ゥシの初期胞状卵胞卵子の体外発育に用いる培 養皿の形状が、体外発育後の卵子の性状に及ぼす 影響について検討した。食肉センター由来のゥシ卵巣表面から直径400-700mumの初期胞状卵胞 を切り出し、卵子と顆粒層細胞の複合体 (OGCs)を取り出した。これらを形状が平底ある いは丸底の培養皿（96穴培養皿）でそれぞれ16 日間培養し、卵胞状の腔形成の有無を観察した。 16日目に腔形成しているOGCsはさらに、体外 成熟および体外受精処理を施し、受精後の発生に ついて検討した。16日間の体外培養後の腔形成 率は、平底が74.1 +-3.596、丸底が74.4+-2.8%で 差が認められなかつたが、培養8日目の腔形成率 は平底で38.5 +-3.7%、丸底で50.3 +-2.8%となり、 丸底で腔形成が有意に早まることが明らかになつ た（p<0.05)。体外発育卵子を体外成熟培養に供 したところ、核成熟率は平底で10.0+-3.8%、丸 底で25.0 +-4.2%となり有意な差が認められた。 体外受精後2日目の分割率および7日目の胚盤胞 期胚率には有意な差がなく、胚の細胞数にも有意 な差が認められなかった。今回の実験より培養皿 の底の形状を従来の平底より丸底にすることによ り腔形成を促し、卵子の成熟能力を向上させるこ とが示された。