鳥類の起源としての恐竜と，恐竜の子孫としての鳥類

摘要

鳥類の起源がどこにあるのかという疑問は，鳥類学の中でも古典的かつ注目を浴びてきた命題の 1つである.かっては，恒温性や二心房二心室の 心臓，発達した脳などの共通点やミオグロビンと ヘモグロビンのァミノ酸配列の類似性から，鳥類は晡乳類と近縁とする説もあった（Gardiner1982; Bishop & Friday 1988).—方で，爬虫類との近縁性も古くから主張され.鳥類と爬虫類は竜弓類Sauropsidaとして1つの分類群にまとめられた例 もある（Huxley186カ.鳥類と爬虫類では後頭顆 が1つであること，中耳が耳小柱のみで構成され 方形骨や関節骨が加わらないこと，体表に鱗を持 つことなど多くの共通点がある（Gill 2007).ま た，ミトコンドリアDNAや核DNAの分析でも， 現生鳥類は現生のヮ二類と近縁であることが示さ れてレゝる(c.f. Hedges 1994; Kumazawa & Nishida 1999; Iwabe et al.2004).これらの証拠から，鳥類 力爬虫類から進化したとする考えは広く一般に受 け入れられている(森岡1984; Gill 2007).