北海道の水田土壌における化学性の現状と土壌別特徴

摘要

急激な米消費量の減少や，ガット農業合意にょる外国産米の輸入，あるいは新食糧法の施行などに伴って，今後は米の流通過剰が予測される．この米過剰に対処するには今まで以上に良食味、低価格米の生産が求められており，これへの対応は本道の稲作にとって重要な緊急課題である．本道の水田は造田から50～80年を経過し，その間に多くの土地改良，土壌改良がなされ，収量、品質とも著しく向上してきた．しかし，最近生産現場からは，地力の低下を懸念する指摘があり，また，一層の良食味米安定生産の観点からは水田土壌の化学性（養分状態）一についての正確な現状把握と，それに基づく土壌改良、肥培管理技術の確立が重要な課題である．ここでは，それらの技術確立の基礎資料を得るために，全道水田1，578か所の土壌サンプルの分析をもとに行った道内水田土壌における化学性の現状，土壌別評価についてその概要を紆介する．