水土文化への誘い（その6）－水土文化の見方：コトを見よう－

摘要

「水土文化」の「水土」は，水と土によって形成される自然環境を意味する。 中国からの漢語で，鎌倉時代後期に成立した『曽我物語』には見えており，わが国では13世紀には使われていたのがわかる。 よく知られている用語である「風土」が，ある自然環境のもとで成立した社会的、文化的な状況ならびにその歴史という意味であるのに対し，「水土」は文献上の用例で見る限り，自然環境そのものの意味で用いられている。 しかし，水と土は自然環境を構成する物質の意味を超え，日本人が深層にもつ思想や世界観を形づくってきたということができる。