線形計画法の実証的適用による農地利用計画 －中山間地域における耕作放棄による外部不経済評価を通じて－

摘要

中山間地域においては，過疎化，高齢化のもとでの農地の荒廃が深刻である．こうした地域においても，相対的に優良な農地を集積することにより，一定の支援のもとで，集落営農等の担い手が存立するポテンシャルがあるといわれている（柏〔6〕）．しかしながら，個別の農地所有者の都合により，農地がスプロール的に耕作放棄され，連鎖的な農地の荒廃につながることも少なくない．したがって，圃場個々の土地利用のみにとらわれず，無秩序な耕作放棄の発生によって，隣接農地にもたらされる外部不経済の影響を考慮した上で，地域全体の農地利用を考えていかねばならない．