流域を単位とした懸濁物質流出負荷量の推定

摘要

河川などの水質成分の一つである懸濁物質（浮遊物質）は，通常，採取された水から租大混入物（＞2mm）を除いたあとに孔径1 mu m程度のガラス繊維ろ紙などでろ過し，そのろ紙上に残留した物質を指す。 その中身は，採取場所や時間により変動するが，土壌粒子など無機物と植物遺体，プラナ′クトンをど肴磯軌その他の混合物であり，主要な発生源は農耕地を含む陸域とされる。 懸濁物質発生源として農耕地を考えると，人為的に肥料や農薬，重機性資材（廃棄物？ ）などさまざまな物質が投入される結果，自然土壌よりも高い濃度の栄養塩賓，化学物質などの環境負荷物質を合着している点に特徴がある。それら環境負荷物質のうち，不溶性または難溶性の物質（リン酸，一部の有機化合物，重金属類）など土壌固相に保持されやすい物質は，常に降雨などによる土壌侵食に伴って水系に流出する危険性をはらhでいる。 こうしたことから，農耕地からの土壌の流亡は，その量がわずかであっでも自然土壌に此べ大きな環境影響を与える可能性があるといえる。