今後の食品研究を展望する

摘要

私は長年糖質の研究にかかわってきたが，ある時期から研究行政の仕事についた。 そして，遺伝子組換え作物，食品が問題になったときに，消費者や反対運動の人達と接する機会が多くあった。 それまではサイエンスの見地からよい仕事をすることを大きな目的にしてきたが，外の世界は全く異なることを考えていることを知り，惜然としたものである。 私が現在仕事をしている国際農業研究協議グループ（CGIAR）は，後に詳述するが，15の国際研究機関を有し，約8，500人の研究者が世界各国で研究している。 そして私自身は現在，7人のメンバーで構成される全体の戦略，評価，研究の進行管理をする科学理事会に属している。 私のもう一つの仕事は，農林水産省農林水産技術会議委員である。 農林水産技術会議は，我が国の農林水産研究の基本計画を策定し，独立行政法人になった農業研究機関の研究の目標，運営，評価など研究方針を決定する機関である。