貯蔵流通条件によるジャガイモ中のグリコアルカロイドの変化

摘要

ジャガイモ（Solanum tuberosum L．）中の有毒成分であるグリコアルカロイドは1826年に発見された。 当時はソラニン（Solanine）という単一の成分と考えられていたが，1954年Kuhnらにより，ソラニンは実はalpha-ソラニンとalpha－チャコニン（Chaconine）（第1図）の混合物であったことが明らかにされた。その後，ジャガイモ中のグリコアルカロイドの95％以上はalpha－ソラニンとalpha－チャコニンであり，残りはbeta－，gamma－ソラニン，beta－，gamma－チャコニン，レプチン（Leptine）I，レプチンⅡ，レプチニン（Leptinine）Ⅰ，レプチニンⅡ，デミ　 ッシン（Demissine），コマソリン（Commersonine）などであることが明らかになった。 このような経緯で明らかになってきたせいか，最近でもジャガイモ中の有毒成分はソラニンという単一成分であると誤解されている場合がある。